2011年12月28日水曜日

-小さな中東-


諸曁(Zhuji)で中学校の英語の先生の家に2泊させてもらった後、義鳥(Yiwu)に向かった。
気温はますます下がっていく。大阪で日本出る直前に大阪で1900円で買ったジャケットが風から守ってくれる。ただ、自転車をこいでるときってけっこう暑い・・。大きな川にかかる橋でも渡ったあとには汗だく。そして冷えて風邪を引く。なので停止している時意外はジャケットを脱いで走ったりマフラーやホッカイロを組み合わせたりと、いろいろ考えて体温調節しているのだけれど。

風邪引いた・・。

それでも何とかついた義鳥。実は昨夜まで泊らせていただいたおうちはホットシャワーも暖房もなかった。それでも電気毛布をひとつ貸してくれたり、お湯を沸かして湯たんぽを作って夜をしのいだ。
寝不足と体調不良で決断した、今日はホテルに泊る!

中国には宿泊所にもいろんな種類があって、「旅館」と呼ばれる宿が断トツ格安。でもそのほとんどが外国人を泊めるための許可証を持っておらず、何件も周ったが結局旅館はダメで、少し高いホテルに泊ることになった。とても痛い出費。でもテントを張ったら医療費の方が高くなる気がしてそう決めた。

実は、この旅始まって2ヶ月、一度もホテルなどの宿に泊っていなかった。
一泊だけ弟と琵琶湖湖畔にテントを張って寝たが、ありがたいことにそれ以外はみんな民泊させていただいた。このサイトのタイトルも「世界の田舎に泊まろう!」、だからこそホテルは避けてきた。

旅の出費の多くを占めるのが宿泊費。
もしその出費がなかったとしたら、みんなそのお金をどんなものに使うだろうか。
きっともっと旅の内容が豊かになるんじゃないかと思う。
ホテルで誰とも会わないでテレビ見て寝ちゃうのと、その土地の生活や人々の中に入ってまるでホームステイのような体験をするのとでは大きな違い。

ここ過去4年の間に世界中から250人以上の外国人を家に泊めてきた。
綺麗なシーツ一枚の為に大金を払っても翌朝にはチェックアウト、ホテルから追い出されてしまう。
それならそのお金で美味しい寿司や酒でも食してもらいたい。せっかく日本に来たなら日本の友達を作って、畳の上で布団を引いて寝て、僕の不器用な日本料理でも食べてから帰ってもらいたい。
そう願う外国人もとても多い。物価も高く海に囲まれ飛行機じゃないとこれない日本。それでも外国人が来たいと願うのは、それだけ日本の文化や生活様式、そして日本人に対して魅力を感じているからだ。

僕も外国にいるなら可能な限りその国の文化の中に入って行きたい。
でも今日は、しょうがない。一応看護師、自分の体も心配しないと。。

この義鳥という街は、いわゆる「made in China」を輸出入するために世界中から外国人が訪れる。特にパキスタン、イラク、アフガニスタン、トルコなどの中東やアフリカ諸国が多い。この日、同じホテルに宿泊していたアフガニスタン人のサニーと一緒にナイトマーケットに出かけた。彼は文具を中国から輸入するためにしばらく滞在していて、祖国を数ヶ月ごと行き来している。

「アフガニスタン最近どう?自転車走れそ?」

僕が知っているアフガンといえばテロや紛争くらいだろうか。今までにあまり考えたこともない日本からはいろんな意味で遠い国だ。

「いまだにひどいよ。いつ何があってもおかしくない。タリ○○は容赦ないんだ。」

首都は安全らしいが地方に行けばまだテロの脅威が潜んでるのだそう。でも彼は言った、

「去年2人外国人チャリダーを見たよ。ヨーロッパの方から来たらしい。」

・・いた!僕と反対方向だ。地を這いつくばってでも進むチャリダー、どこにでも出現するなあ。シルクロードを通る際にアフガンに行くか行かないかはまだ今は決められないが、たとえ行けなかったとしてもいつかは行きたい国。近い将来、日本から直行便が出てツアーなんかも募集しちゃって、日本のおばちゃんたちでも気軽に来れるような国になる日がくるのだろうか。

いや、来る!

ナイトマーケットからの帰り道、交差点を青信号で渡っていた僕を三輪のバイクがかすって行った。その時サニーが言った。

「昨日ここで少女が車に跳ねられたよ。」

しかも青信号を一人で渡っていたらしい。車を運転していたのは女性。泣きながら少女の元に駆け寄っていったという。
泣くくらいなら、なぜ跳ねた。なぜ赤信号を平気で突っ切ろうとした。
僕らは理解できない彼らの行動に腹を立てずにはいられなかった。

この前も中国人の友達と街を歩いていたとき、信号が赤になったので立ち止まった。左右から車が流れ始める。友達は、

「なぜ渡らないの?みんな渡ってるじゃない。」

人は車の間を縫うように、車はこれでもかというくらいクラクションを鳴らしながら人をよけて走っていく。まさに死と隣り合わせ。
ほんの30秒だよ。この30秒を待つか、それを長いと感じ一生をここで終わりにするか。
親が子供と一緒に赤信号で渡るから、子供もそれを良しとして渡る。

もしその子供が赤信号を一人で渡って、引かれたとしたら、その親は泣くだろう。その時自分が知らずに子供に与えていた教育を振り返るのだろうか。

日本から出て異文化の中に自身を放り込むと、色んな矛盾や疑問が見えてくる。その国の善いところ悪いところ、そして母国の善さも悪さも。日本も昔はそうだったに違いない。豊かになるにつれ、法を順守するようになり、秩序を守るようになった。ただ、少し行き過ぎた面もあるとは思うけど・・。
だからすぐに先進国のような秩序を保てというのも無理がある。時間と人々の理解が必要。

それはわかってる。わかってるけど。
未然に防げるのにもかかわらず痛い思いをする人々を見てしまうと、もどかしい思いがしてたまらない。


Zhuji - Yiwu
走行距離 : 67.99km
平均速度 : 16.8km
最高速度 : 38.9km

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