2012年7月19日木曜日

ー旅先のネット環境と中国の道路ー

  

都市と都市を繋ぐ幹線道路の整備が急ピッチに進められている中国。
中国の幹線道路には省道(例S105)と国道(例G312)があり、自転車旅で通る道はだいたい国道が多いのだが、時々地方都市間の移動となると省道を通る事がある。

移動日の朝、歯を磨きながら地図とGPSをにらめっこして、道順を頭に叩き込む。このルートを確認しているときに今日はいくつ山があるかなとか、休憩できそうな街はどこかなとか考える。
そしてメインのルートが省道だとわかったとき、少しがっかりする。
なぜなら省道の道路の路面状況はとてもひどいことが多く、ボコボコどころか大きな穴が空いていて片道通行、大きなトラックが左右から来て渋滞する事もある・・。


ただやはりそれなりにいいところもあって、排気ガスと舞い上がる塵で涙が出てくる国道とは違い、自然の中のどかな田舎景色が楽しめる。
ヤギの群れを追いながら道路を横断するおばさんや、小川で釣り糸を垂らすおじさん、採れたてのスイカや桃を路肩で売る人達。ボコボコ道のせいでパンクしてもその修理を土ぼこりの中でむせながらするのか、自然を見ながら一息つけるのか。なるべくメリットを探していいことだけ考えたいが、でもなぜか国道に入るとホッとする。


前日の朝ご飯、昼ご飯、さらに夜ご飯までも地元に方にお世話になってしまった。そしてこの日、Suizhouという街を走っているといつものようにバイクに乗った人たちが横付けしてきてお話が始まる。その中にちょっと早いけどお昼おごるから一緒に食べようと誘ってくれた学生がいた。2時間前に蘭州拉麺を他のチャリダーと食べたばかりだったが、親切な誘いに喜んで付いていった。彼は名門武漢大學の学生で、夏休みで実家に帰ってきたらしい。僕がその時着ていた「武漢大學旅行倶楽部」のTシャツを見てすかさず声を掛けたのだという。


昼食後、彼のバイクを二人乗りして街の有名な観光スポットを案内してくれた。それまで知らなかったのだが、Suizhouには中国の「父」と呼ばれる偉大な人が昔住んでいたらしい。彼を祀る大きなお寺が街外れにあり、その広大な敷地に数多くある施設はまだ建設中のものもあり今後の観光活性化に期待されている場所でもあった。

その場所にどこから聞きつけたのか、僕がこの街にいるということがわかり地元テレビ局が来た。先週香港のテレビ番組を断ったばかりで今回も断る気でいたのだが、地方の観光活性化の為にもぜひ協力して欲しいと頼まれ引き受ける事にした。自転車をお寺の中で管理してもらい、街とお寺をリポーターと共に話しながら歩く。とても親切な人達で英語も堪能、街の素敵なところも巡れて楽しい取材だった。これで外国人を今後さらに誘致していければ彼らも言う事はないだろう。確かに素敵な街。頑張れSuizhou


旅人の悩みのひとつがネット環境。

中国にはネットカフェ(ワンバー)と呼ばれる場所が小さな都市にも数カ所あり、一時間2元(14円)ほどで備え付けのパソコンが使える。ただしWiFiを飛ばしていなかったりLANだけの提供をしているところは今のところ見た事無い。特に規制のおかげで自由にWeb閲覧ができないこの国では自分のパソコンを使わないとfacebookblogも開けない。
その為まず新しい街に着いた1日目の夜あたりにするのがWiFi探し。
ほどんどの比較的大きな喫茶店やレストランには飛んでいる。
マックやKFCには残念ながら飛んでいない。CCMC(中国移動)などと契約していないと使えない。

僕はもう少し範囲を広げ、自転車屋や美容院、大学の学生寮などに突然入っていき、ネットを使わせてもらう。(実はそこで友達を作るのも目的)

Suizhouでは上記写真の美容院で毎日WiFiを使わせてもらった。
美容師さんやお客さんに親切にしていただき、公園や夜市の屋台に一緒に行ったりもした。

ここの美容院で知り合った高校生の男の子が家に招待してくれた。お母さん手作りの美味しいSuizhouのローカル料理をお腹いっぱい食べさせていただいて大満足。高校の中も他の学生と共に案内してくれ、中学生が入学試験中の教室の外を忍び足でそっと歩いたり、バドミントンをして遊んだり、若いエネルギーもいっぱいもらった。

今年の夏、彼は同じ歳の友達と二人で雲南にキャンプの旅に出かけたいのだそう。そこでバックパックの背負い方や、テントの正しい設置の仕方などを教えて欲しいと頼まれ、実際に公園にテントを張って練習した。

今夜は彼の誕生日、しかし旧暦ではこの日ではない。
一度も門限23時をやぶらず、一度も外泊した事も無い彼。年上の彼女とのデートもランチにこっそりと、そもないと母親が怒るらしい。屋台で彼と飲んでいたその夜、彼が言った。「この世界から抜け出せない。でも冒険したい。・・でもでも母に殺される・・。」
親はいつまでも子供は子供だと思っている。いや、そう思いたいのだろう。
大切にされているから故、時に厳しすぎると思われてしまう。でも実は、彼の成長を一番わかっているのは母親だよ。「僕こんなに成長したんだよ!」というところを見せてやりな。
門限が過ぎた深夜、彼は母親に恐る恐る電話して、
「今日keiのところに泊まるから心配しないで・・。」
母親「外国に興味があってあなたが決めた事ならいいわよ。」
彼は母親の意外な反応にビックリしていた。
ほらね。

新暦の誕生日。ケーキがないから手持ちのお菓子と洗面器で見た目だけのケーキを作って、歌を歌ってお祝いをした。ワイン一本を空け、彼はソファーで眠りに落ちた。





彼は言った。将来みたいになりたい。って。
僕は言った。やめておいた方がいい。

それでも彼は言った。いや、絶対なってみせる!


口では言うけど色んな事を言い訳にして実行しない人が多い。小さなことでも、きっと少し努力すれば乗り越えられる障害。それをもっと大きな言い訳にして、あきらめることを正当化してやめてしまう。きっと彼の強い意思なら諦めず周りに流されない大人になれるのかも。
朋友、加油!


Suizhouで泊まらせて頂いたお父さん。
プレゼントにこれを頂いた。
武漢大學にいる一人娘(僕の友達)が現在成都からチベット拉薩までヒッチハイクの旅をしている。娘を旅に出すことを了承する中国の親は非常に!少ない。
お父さんは言った「彼女の人生だ。生きたいように生きるのが一番いいのさ。」
少し寂しそうな表情で、50度の白酒のショットを一気に飲んだ。
お父さん、今夜は付き合うからね。


変な人ではありません。
湖のボートに乗せてくれた漢川のホストのお母さんです。
彼女の教育理念や考え方にはとても感心する。なかなかこちらでは珍しい。
「まず目標が見つかったらそのリスクや経費を考えるよりも、それを達成しようとすることを考える。」のだそう。



「我men 歓迎 Nin~!!
(私たちの街にようこそ、あなたを歓迎します!)
どの街に行っても人々がそう言って歓迎してくれるから、
ワクワク!!


一日100km自転車こぐとか・・もったいない。色んなものすっ飛ばして、ただ走っているだけ。なら学校の校庭をぐるぐる回っているのと同じだ。20kmでももったいないって思う。
おっと、中国あと3500km。次ぎの国に抜けるのは何年後かな?

河南省 唐河県 to 南陽市

走行距離:56.43km
平均速度:18.2km/h
最高速度:41.1km/h



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