2012年9月28日金曜日

ー薬を届けた少数民族の村ー



ストローと割り箸で何かを作って遊んでいる男の子達。
画用紙に色鉛筆で絵を書いて遊んでいる女の子達。
車で2時間程走った山の中にも、都会と変わらぬ子供達の笑顔があった。
しかし彼らが数日前まで住んでいた村は土砂崩れと地震で壊滅。中には家族を失った子供達もいる。

臨時に設置されたテント村。
まさか一生のうちで自分が仮設テントで寝泊まりをし、机も教科書もない仮設テントで作られた小学校で勉強をするとは思っていなかっただろう。

「薬」はこの村に届ける事にした。


早朝、薬の名前と数をボランティアスタッフと共に紙に書き出す。
多少箱に凹みがあったものの、1週間大切に守りながら運んできた薬はほとんど原型のままだった。計15種類、品名で分けると36種類。他に消毒や包帯、絆創膏なども山ほど入っている。ただ、日本語教師の先生からいただいた日本の薬は表記も日本語で、寄付としては難しいという事で、僕が預かる事にした。



テント村の仮設診療所の前で、駐在していた現地ボランティアのゴウさんに薬を受け渡す。今は離れてしまったが、彼も震災直後からこの地に来てボランティアを続けていた優しい青年だ。薬を管理している彼の元には常にお年寄りや子供達が薬を求めて集まってくる。すでに、いわゆる一般薬が貯蓄されていたが、これもこの村の避難民200人以上をカバーするには足りず、供給に追いつかず減っていく一方だと言う。


山岳被災地の医療にはまだまだ頭の痛い問題が山済みだ。
病は軽いうちならば薬で治せるかもしれないが、もし重篤なった場合診てもらえる大きな病院は近辺になく、都会まで出る足やお金がない。本当にいざとなったときは地元政府が車を出して病院まで連れて行くことになるが、彼らは救命士でもなければ24時間対応できるわけでもない。

しかし、ないものはない。限られたリソースの中で、人々が知恵を出し合い助け合いながら行きていくしかないのだ。

ただ、都会から離れた山岳地帯で暮らす人々というのは、僕ら便利な都会で暮らす人間と違う素晴らしい生きる知恵を持っている。それは祖先から代々受け継がれ、自然と人間が上手に付き合ってきた中で培われた、まさに生き延びる為の技術なのだろう。もし風邪を引いたり怪我をした場合、おばあちゃんが引き出しから取り出したるは何やら怪しげな薬草や乾燥した木の実。これが本当のTCM(伝統的中国漢方薬)だ。考えてみれば、もともとこの場所には(震災前から)化学薬品や高度医療機器などないのだ。


話がそれるが、雲南省ではない河北省の田舎での話。
友達がまだ幼かった頃、突然体側に原因不明な真っ赤な湿疹ができて、とても痒くてたまらなかったという。母親が医者に見せてもわからないと言うばかり。そこでここぞとばかりに登場したのは曾祖母(ひいおばあちゃん)。友達曰く、彼女は「魔女」だと・・。
彼女は友達をベッドに横たわらせ、何かモゴモゴと唱え、白酒(酒度70°)を口に含み、口元に火のついたマッチを持って来るなり一気にその白酒を霧のように噴射した。たちまちその霧は炎に変わり、その炎は友達の体を包んだ。
その直後、あのヒドイ痒みはどこへやら・・。
その翌日には湿疹も薄くなりやがて治癒したのだという。

ウン、魔女だ。


雲南省、特に少数民族の村にも僕らには理解し難い摩訶不思議な話がたくさんあるようだ。地元の人からしか聞けない話。そういう話はまたいつか時間が出来たら書いていこうかな♪

  

僕らがこの村を去るとき、子供達がお礼にと、唄を歌ってくれた。
唄の歌詞の意味はわからなかったけれど、最高の笑顔と可愛い手の振り付けに感動。涙が出そうになった。
実は歌詞の意味がわからないのは僕と遠藤さんだけではなかった。あとで聞いた話、この子供達もわからないのだという。メロディーだけで歌っているのだと。
教育水準の問題か。いや、思えば僕だって小学校のとき歌った歌の歌詞なんてほとんど理解していなかった。音楽の先生に歌えといわれてパッヘルベルのカノンを歌っていたが歌詞の意味などわからないし気にしてもいなかった。この子達も同じなのだろうか。彼ら独自の言語と、普通語(北京語)は全く異なるゆえ、彼らからすれば他の中国人の話す言葉や、この歌の歌詞は外国語のようなものだ。

動画YouTube

http://www.youtube.com/watch?v=Op5z8jZUWJg
Youku
http://v.youku.com/v_show/id_XNDU1NDgxNjgw.html



仮設テント小学校。教室で子供達に手品を披露した。
子供達が驚き喜ぶ顔が見れて少しほっとした。
本当はゲームしたり、テレビ見たり、もっと楽しいことして、お母さんに怒られるくらいふざけ合って笑いころげてもいい年頃なのに、不幸にも起こった災害は彼ら子供達の生活をも変えてしまった。

動画Youtube

Youku
http://v.youku.com/v_show/id_XNDU1NTA3NzM2.html

被災地の子供達にとって震災や洪水により受けた傷は体よりも心の傷の方が深く、薬では治せないケアが必要だ。先日、云南彝良震区にある学校の先生から知り合いを通じて連絡が入り、子供達の心理カウンセリングをお願いされた。今ネットを通じて中国中に呼びかけ、専門知識のある方の協力をお願いしたところ、数名の志願者からの応募が来た。

子供達の笑顔がない村なんて、なんか寂しいよ。



そして昨日、残念な情報を聞いた。
仮設の小学校の運営が厳しくなり、廃校になってしまったそうだ。十分な教育物資と、教員の不足が原因。今子供達は山道を片道1時間近く歩き、3つの学校に別れて通っている。

相変わらず僕を心配してか、監視か、ついてくる政府/警察達。この日は22人。
震災発生直後に訪れた温家宝首相依頼の厳重警備らしい。
その後来たジャッキーチェンは自家用ジェトでパッと来てすぐパッと消えてしまった。

もう長く一緒にい過ぎて、仲良しのお友達になっちゃったね。
一緒にいるからには、一緒に長靴履いて作業してもらいますよ♪

(上記内容は2週間前のもの)

★ラジオのお知らせ★
SBC信越放送「ともラジ」
1013日(sat.13:00~14:55
僕は14:30頃、中国からの中継(録音)で出演します。
現地から生の情報をお伝えします。
(毎月出演)
http://sbc21.co.jp/radio/tomoraji/


facebook: (keiichiro kawahara,河原啓一郎)
http://www.facebook.com/coucou.kei


【北京】今日はglobal times ,lonely planet,南方都市 3つの取材で先ほど終わったところ・・。来週以降はもっと忙しくなりそう。お金も時間もないし、大丈夫か僕。。

0 件のコメント:

コメントを投稿